椎間板ヘルニアの治療
ヘルニアとは、体内の臓器などが、本来あるべき部分から脱出した状態を言います。
一般的に多いヘルニアは、鼠径ヘルニア(脱腸)、臍ヘルニア(でべそ)、椎間板ヘルニアなどです。
椎間板ヘルニア
背骨と背骨の間のクッションの役割を持つ椎間板の内部には、髄核という組織があります。この髄核が後方に飛び出て、神経を圧迫するのが椎間板ヘルニアです。
治療法としては、鎮痛剤、けん引、温熱療法などによる保存療法や、神経ブロックにより痛みを取り除く療法が一般的です。上記の治療で症状が改善しない場合は、内視鏡下で飛び出たヘルニアを摘出するのが最もスタンダードな治療法ですが、当院の系列である山中病院では手術治療の前に【椎間板内酵素注入療法】という治療を実施しています。
【椎間板内酵素注入療法】
椎間板内に酵素を含んだ薬剤「ヘルニコア」を直接注入して、ヘルニアによる神経の圧迫を弱めます。皮膚から椎間板に針を刺すだけなので手術と比較して患者様への身体的負担が小さい治療方法です。
髄核には保水成分が豊富にあるため、ヘルニコアを髄核に注射することで、有効成分のコンドリアーゼが髄核内の保水成分を分解し水分による膨らみを和らげます。結果として神経への圧迫が改善し、痛みや痺れなどの症状が軽減すると考えられています。効果が出るまで2-3週間ほどかかります。
椎間板内酵素注入療法の注意点
ヘルニコアは人生で1回限り実施できる治療法です。また注射によるアナフィラキシーの発現(かゆみ、蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛、吐き気などの消化器症状、視野が狭くなるなどの視覚症状)の可能性があります。アレルギー体質の方はヘルニコアの治療に注意が必要です。ヘルニアの形や出ている位置によっては、椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア注入)の適応とならないこともございます。
整形外科外来にてご相談ください。